中国語には、2種類の「ン」があります。
『 アンナイ(案内)の「ン」(n)と、アンガイ(案外)の「ン」(ng) 』とよく説明されます。日本語を話している時は気がつきませんが、実は無意識に違う方法で発音しています。
意識して発音してみると、アンナイの時の「ン」は、次の「ナ」を発音する前に音が一旦ストンと終了しているような感じがしませんか。
一方、アンガイの時の「ン」は、次の「ガ」の発音の準備をしている口になっているため、「ン」の後に余韻があるように聞こえます。そのため、nの時は音が短く、ngの時は若干長めに感じられます。
では、早速ペアで覚えていきましょう。
an ──── ang
an アン
ang アン (余韻あり)
en────eng
en エン (あいまいなエ)※①
eng オン (余韻あり)
※①「あいまいなエ」です。日本語の「エ」にならないように注意しましょう。
in (yin) ──── ing (ying)
in (yin) ィン
ing (ying) ィン (余韻あり)
ian (yan)──── iang (yang)
ian (yan) ィェン※②
iang (yang) ィアン (余韻あり)※②
※② nとngでは、発音が全く異なるので注意してください。
uan (wan) ──── uang (wang)
uan (wan) ゥアン
uang (wang) ゥアン (余韻あり)
uen (uen)──── ueng (ueng)
uen (uen) ゥェン※③
ueng (ueng) ゥオン (余韻あり)※④
※③ uen の前に子音がつくときはeを省略します。
例 c+uen →cun (村)
表記では省略しますが、音はかすかに残ります。「ツン」よりは「ツゥン」のような感じです。
cūn (村)
※④ ueng (weng) は子音がつくことはありません。常に weng です。
※③④ nとngでは、発音が異なるので注意してください。
üan (yuan) ──── ün (yun)
üan (yuan) ュェン
ün (yun) ュエン (あいまいなエ)※①
※① 「あいまいなエ」です。日本語の「エ」にならないように注意しましょう。
ong ──── iong (yong)
※⑤ ong は必ず前に子音がつきます。音節として独立しません。
今回は t をプラスしてtongで聞いてみましょう。
ong オン→ tōng (通) トォン (余韻あり)※⑤
iong (yong) ィヨン (余韻あり)
◎最後に、中国語の単語で、n で終わるか、ng で終わるかわからなくなったときに参考になる法則があるのでご紹介します。
それは、中国語の最後が n で終わる字は、日本の漢字の読みの最後が「ン」で終わり、中国語の最後が ng で終わる字は、日本の漢字の読みの最後が「ウ」又は「イ」で終わるというものです。
中国語の最後 “ n ”→日本語の最後「ン」
例
山shān (サン) 林lín (リン)
男nán (ダン) 前qián (ゼン)
元yuán (ゲン) 天tiān (テン)
中国語の最後 “ng”→日本語の最後「ウ」
例
汤tāng (トウ) 东dōng (トウ)
送sòng (ソウ) 商shāng (ショウ)
中国語の最後 “ng”→日本語の最後「イ」
例
清qīng (セイ) 星xīng (セイ)
英yīng (エイ) 声shēng(セイ)
*( )内は日本語の読みです。
一部の例外を除いて、だいたいあてはまりますので覚えておくと便利です。