簡体字の話

■簡体字のなりたち

中国語は、漢字であらわされますが、その字体は日本のものとは異なったものがいくつもあることに気付きます。

たいていは日本の漢字よりシンプルで画数が少なくなっています。これは、略字や俗字ではなく、れっきとした中国の正規の文字で「簡体字かんたいじ(简体字jiǎntǐzì)」といいます。

簡体字が生まれる前の、もとの漢字は繁体字はんたいじといい、その名の通り複雑で画数が多いという特徴があります。象形文字から発達した中国の漢字(繁体字)は、その文化的・芸術的価値を誇る一方で、習得するのに多大な労力を必要とするという欠点もありました。

そのため、昔の中国では時間や金銭的余裕のない一般庶民にとって、文字を習得するというのはとても難しいことでした。

しかし、時代は下って新中国の建設に一般庶民も参加するようになると、それに伴い彼らも様々な知識を身につける必要が出てきます。その第一歩としての文字の習得を促すことは、当時の中国にとって喫緊の課題だったでしょう。

こうした必要に迫られておこなった文字改革により、これまでの漢字が大幅に簡略化され、また、民間で使用されていた俗字や当て字などが整理整頓されて「簡体字」が誕生しました。

簡略化の方法にはいくつかのパターンがある

簡略化の方法には次のようなものがあります。

1.もとの字体の一部を残す方法

  習→习  郷→乡  

  麗→丽  飛→飞

2.へんつくりの一部を符号に置き換える方法

  漢→汉  構→构  

  風→风  鶏→鸡

3.草書体(※①)を取り入れる方法

  長→长  書→书  

  門→门  為→为

4.輪郭や特徴だけを残す方法

  馬→马  鳥→鸟  

  傘→伞  雜→杂

5.同音の簡単な字に替える方法

  麺→面  達→达  

  穀→谷  幾→几

6.画数の少ない古字に替える方法

  箇→个  雲→云  

  禮→礼  從→从

7.会意文字(※②)や形声文字(※③)の原理を利用する方法

  陰→阴  陽→阳  

  護→护  驚→惊

そのほか、偏としての言・食・金を 讠・饣・钅のように簡略化したり、

  話→话   飯→饭   銀→银

齒→齿 のように重複している部分を削る方法などがあります。

※① 草書体・・・崩し字。隷書を速く書くために字画を省略して作られた書体。
※② 会意文字・・・意味のある二つ以上の漢字を組み合わせて、新しく作り出した漢字。例えば、田と力で「男」、日と月で「明」など。
※③ 形声文字・・・発音を表す部分と、意味を表す部分が組み合わさった漢字。例えば「请、清、晴」は右側が青(qing)で発音を表し、左が「さんずい(氵)ごんべん ( 讠) ひへん (日)」で意味を表している。

 

   

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